スペインのバースデーパーティで一番楽しかった思い出は何かと聞かれたら、もうあまりよく覚えたいないが、ピニャータ(piñata) が楽しかったことは覚えている。ピニャータとは、お菓子を満杯に詰め込んだ箱があり、箱の底に付いている複数のヒモを子供たちが一斉に引っ張ると底が破れてお菓子が雨のように降ってくる、夢のような箱のことだ。自分のバースデーパーティーに友達を呼んだ時も、友達のバースデーパーティーに呼ばれた時もピニャータがあった。パーティーで一通り遊んで騒いだ後で、ピニャータが登場してお菓子をたくさん拾うのだ。それはまさしくバースデーパーティーのクライマックスなのである。
スペインのお菓子はけっこう美味しくて、日本でもよく知られている Chupa Chups も実はスペイン産のお菓子である。Chupa Chups も美味しいけど、私は正方形のキャンディや regaliz (レガリス)という、赤いねじれた棒状のキャンディが好物だった。
ピニャータには絵に描いた、箱の底のヒモを引っ張る方式の他に、主に丸い大きな発泡スチロールの入れ物にお菓子を入れて、棒で入れ物を強く叩いて割るものもある。ただし、棒で叩くピニャータはパーティーの主人公の一人しか参加できない。私は両方のピニャータを経験したが、みんなで楽しめるヒモを引っ張るピニャータを好んだ。こんなに楽しいピニャータだが、小学校低学年までしかやらない。小5にもなるとピニャータは出てこなかった。また、ずっとピニャータはスペインの習慣かと思っていたが、実はメキシコのものらしい。同じスペイン語圏だからどちらが発祥の国なのか分からなくなる。
外国の文化を輸入するのが好きな日本なので、ぜひピニャータも日本のバースデーパーティーに取り入れたい。