私は家族とスペインに到着した当日か翌日には、もう現地の保育園に入学した。保育園か幼稚園のどっちだろうか迷ったが、私はまだ2歳になったばかりで、スペインの幼稚園は3歳から入園可能な為、おそらく保育園だろうと思う。母の話によると、入園の手続きに行っただけなのに「今から入れますよ」と言われて即入園したらしい。保育士さんが美人だった為、父が即決したという噂もある。
実は最も古い記憶は、この保育園 El Abeto (エル・アベート。モミの木の意)である。エル・アベートでは後に同じ小学校に進む親友の一人のアントニオ君と友達になり、仲間達と保育園の中を走り回っていた。建物の周りにグルッと通路があり、犬みたいに全速力で走ってたっけ。また、園内にはブランコがあり、映画「スーパーマン」を観た影響なのか、「空を飛びたい」と考えてブランコから飛び降りて着地に失敗し、頭を針で縫う怪我をした。救急車で運ばれる事態となったが、親に連絡はしておらず、母が保育園に迎えに行った時に「息子さんが怪我をして救急車で運ばれました」と初めて知らされたらしい。何とも呑気なラテンの国らしいエピソードだ。
保育士の美人のお姉さんの手にぶら下がっている写真が残っているが、宝物だ。
ちなみに、エル・アベートは現在はもうなく、介護施設になっている。日本と同様にスペインも少子高齢化が進んでいるからなのだろうか。