スペインでは多くの日本人児童とは異なり、日本人学校ではなく、現地校に通った。せっかくスペインに住んでいるので現地の人と同じ環境で子供達を育てたいという両親の方針だ。日本語は家庭内で話し、また土曜日の午前中だけ日本語補習学校に通っていた為、日本文化との接点は持っていた。
今回は小学校時代のエピソードを紹介する。日本では子供の頃から一人で、もしくは子供達だけで集団登校するが、スペインでは日本ほど電車などの公共交通機関が発達していないこともあるが、児童を誘拐する事件に巻き込まれないよう、一般的に高校までは親が子供を学校まで送り迎えする。
学校は自宅から徒歩30分もかからない距離にあった為、毎日母が学校の校門まで送り迎えしてくれた。多くの女性と同じように、母は支度に時間がかかる為、遅刻しそうな時は母は私のリュックにつかまり、ダッシュして母を引っ張った。一度のみならず、何度も母を引っ張った記憶がある。他人が見たらさぞおかしな光景だっただろうと思い、絵に描いてみた。