チステとは、ドラキュラのことではない。（血、吸って。。）チステとは、スペイン語で小噺、短くてクスッと笑えるジョークの事である。スペイン人は子供から大人までチステが大好きで、口を開けばチステを披露して自分で笑っている好き者もいる。
小学校では、時々担任の先生が授業を休んで、生徒達が順番にチステを披露する時間を作った。私は子供の頃は極度の内気で、人前に立つだけでも脚がブルブル震えるくらいだった為、チステの時間は刑の執行を待つ死刑囚のような気持ちだった。そんな私とは違い、同窓生達はどこで練習したのか、身振り手振り交えてチステを披露した。面白いと先生と一緒に笑った。スペインでは親族の結束が固く、毎週末、祖父母や叔父や叔母達と集まって食事をする習慣がある為、そこで大人達が披露するチステをたくさん聞いて子供はチステを覚えるのだろう。そのような環境にいなかった私は、結局最後までクラスでチステを披露することができなかった。
YouTube にもたくさんチステが公開されている。最近観た子供向けの短いチステが面白かったので紹介しよう。スペイン語の知識がないとちょっと分からないけれど・・
ある日、海の中で２匹の魚の子供達がお話をしていました。
魚A: ねえ、ねえ。君のお父さんは何してるの？
魚B: Nada (ナダ)
えーと、これはスペイン語で「泳ぐ」を意味する nadar と、「何も(無い)」を意味する nada をかけたジョークである。スペイン語は動詞は人称によって変化する。例えば nadar の変化は、Yo nado（私は泳ぐ）、Tu nadas（君は泳ぐ）、El nada（彼は泳ぐ）のように変化するので、魚Bは三人称を使っている。また、nada は別に nothing を意味する為、魚たちの会話では「僕の父さんは泳いでるよ」と「僕の父さんはなーんにもしてないよ（無職!）」の2通りに受け取ることができるのだ。わはは。魚が実際にこんな会話をしているのを想像すると面白い。
チステに興味がある人は、まず YouTube で調べてみてはいかがだろうか？