絵とカブとスペインと

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趣味で描いている絵や愛車のリトルカブ、スペインの事などを載せている個人のサイトです。

あの頃

No.12 食前のお祈り

  • anokoro12
  • スペイン人の小学校の友達と時々お泊まり会をした。うちに呼ぶこともあれば、泊まりに行くこともあった。泊まりに行った時、何をして遊んだのか全然覚えていないが、覚えているのは食事の前のお祈りだ。

    全てのスペイン人の友達の家で行われていたわけではないが、敬虔なクリスチャンの家だと食前のお祈りをした。お祈りの言葉はだいたいこんな内容だ。

    「父よ。あなたの慈しみに感謝して、この食事をいただきます。ここに用意されたものを祝福し、私たちの心と体を支える糧としてください。私たちの主、イエス・キリストによって。アーメン」

    私はキリスト教信者ではないが、郷に入っては郷に従うポリシーなので、友達の家族と一緒にお祈りをした。

    少し話が逸れるが、日本では「いただきます」を言う時に手を合わせる光景を最近よく目にする。例えば社食で同僚と食事をする時に。うちの家族は手を合わせなかったので、最初見た時は少し戸惑った。転職して別の会社の同僚と社食で食事をする時も同じように手を合わせる人がいて、実は自分が少数派なのではないかと思った。「いただきます」と声に出すが、手を合わせる習慣はなかった。

    不安になったのでネットで調べてみたところ、全国で手を合わせて「いただきます」をするのは 64%。「いただきます」と言うが合掌しないのは 28.8%。合掌するが「いただきます」は言わないが 1.0%。どちらもしないが 6.3% という調査結果だった。私のように疑問に思った人がいるんだね。詳しくみると、合掌して「いただきます」をいう地域が多いのは西日本。「いただきます」を言うが合掌しないのが多い地域は東北地方。また、大都市圏ほどどちらもしない傾向がある。研究者によれば「いただきます」の挨拶は決して古くなく、全国的に広まったのは大正から昭和初期で、一般化したのは戦後に入って食事マナーのしつけが行われてからという説もある。敗戦して戦前の神道教育をGHQによって否定された日本ではヨーロッパのように宗教による規範の代わりに、学校教育が担ったということなのだろうか。もっと調べてみると、テレビによる影響だとか、外国人は日本は仏教の国なのでいつでも手を合わせるものと思っており、日本人の真似をして手を合わせるのを日本人は別に訂正せずに同調するからという説もある。確かに、サッカーの長友選手のチームメートが「日本人」の真似をして手を合わせてお辞儀をし、長友選手が同調する場面を見た事がある。「いただきます」の時に合掌するようになった理由は不明だが、スペインの習慣一つを取って日本と比較するのもなかなか面白い。


    (参考サイト: いただきますの「合掌」、全国共通のマナーじゃなかった! 東北人は…?)

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あの頃

No.12 食前のお祈り

  • anokoro12
  • スペイン人の小学校の友達と時々お泊まり会をした。うちに呼ぶこともあれば、泊まりに行くこともあった。泊まりに行った時、何をして遊んだのか全然覚えていないが、覚えているのは食事の前のお祈りだ。

    全てのスペイン人の友達の家で行われていたわけではないが、敬虔なクリスチャンの家だと食前のお祈りをした。お祈りの言葉はだいたいこんな内容だ。

    「父よ。あなたの慈しみに感謝して、この食事をいただきます。ここに用意されたものを祝福し、私たちの心と体を支える糧としてください。私たちの主、イエス・キリストによって。アーメン」

    私はキリスト教信者ではないが、郷に入っては郷に従うポリシーなので、友達の家族と一緒にお祈りをした。

    少し話が逸れるが、日本では「いただきます」を言う時に手を合わせる光景を最近よく目にする。例えば社食で同僚と食事をする時に。うちの家族は手を合わせなかったので、最初見た時は少し戸惑った。転職して別の会社の同僚と社食で食事をする時も同じように手を合わせる人がいて、実は自分が少数派なのではないかと思った。「いただきます」と声に出すが、手を合わせる習慣はなかった。

    不安になったのでネットで調べてみたところ、全国で手を合わせて「いただきます」をするのは 64%。「いただきます」と言うが合掌しないのは 28.8%。合掌するが「いただきます」は言わないが 1.0%。どちらもしないが 6.3% という調査結果だった。私のように疑問に思った人がいるんだね。詳しくみると、合掌して「いただきます」をいう地域が多いのは西日本。「いただきます」を言うが合掌しないのが多い地域は東北地方。また、大都市圏ほどどちらもしない傾向がある。研究者によれば「いただきます」の挨拶は決して古くなく、全国的に広まったのは大正から昭和初期で、一般化したのは戦後に入って食事マナーのしつけが行われてからという説もある。敗戦して戦前の神道教育をGHQによって否定された日本ではヨーロッパのように宗教による規範の代わりに、学校教育が担ったということなのだろうか。もっと調べてみると、テレビによる影響だとか、外国人は日本は仏教の国なのでいつでも手を合わせるものと思っており、日本人の真似をして手を合わせるのを日本人は別に訂正せずに同調するからという説もある。確かに、サッカーの長友選手のチームメートが「日本人」の真似をして手を合わせてお辞儀をし、長友選手が同調する場面を見た事がある。「いただきます」の時に合掌するようになった理由は不明だが、スペインの習慣一つを取って日本と比較するのもなかなか面白い。


    (参考サイト: いただきますの「合掌」、全国共通のマナーじゃなかった! 東北人は…?)

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